2018.09.18 Tuesday

Just a penny. (たかが1円、されど1円)

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    アメリカのニュース番組を見ていたら、おもしろいCMに出会いました。

     

    It Begins with ‘Just a Penny’ in CNN’s ‘Quest Means Business’ ←ここをクリック

     

    「お嬢さん、これ落としましたよ。」

    ある男性が床に落ちていた1ペンスを拾って女性に渡しました。

     

    1ペンス。アメリカではpennyと呼ばれる小さなコイン。

    1ドルの100分の一。日本円で言ったら1円玉ですね。

     

    男性に、落としましたよと言われたお嬢さんはこう答えます。

     

    「Just a penny.」

    日本語で言えば、「たった1円でしょ。」という感じです。

     

    男性は、「たった1ペニーだって。」と驚きます。

    「このペニーからすべてが始まるんだよ。」と語り始めるのがこのコマーシャルです。

     

    日本と同じですね。
    1円玉というのは「たかが1円玉」ですが、「されど1円玉」。

    日本経済の始まりはこの1円玉からです。

    私が子どものころ、大人の人たちからこう言われました。

    「1円を大切にしなさい。たった1円足りないだけで電車にも乗れないし、電話も掛けられないんだよ。」

     

    そんな昭和の話をしても仕方ないかもしれませんが、おじさんとしては、やはり「1円玉は大切だ。」とこのCMを見て思いました。

     

    最近気になることがあります。

     

    それは、最近の若い人たちはあまり小銭のことを気にしなくなっているのではないか、ということです。

     

    ほとんどの人は携帯ですから、公衆電話から電話を掛けるということもないですね。

    公衆電話って市内通話は1分10円でしたが、今はいくらでしょうか?

    長距離通話は10円で2.5秒でした。

    午後8時を過ぎると割引になって、同じ10円で4秒ぐらい話せたと思います。

    寅さんの映画で、さくらが時計を見て、「そろそろ8時過ぎたから、お兄ちゃんから電話がかかって来るかも。」というシーンがありました。寅さんはいつも公衆電話で10円玉をたくさん持って電話をかけてきますから、夜8時になって割引になる時間になってからかけてくる。寅さんだけじゃなくて昭和の日本人はみんなそういう感覚を持っていました。

    電車に乗るのもそうですね。国鉄と私鉄が並行して走っている区間では、どちらで行ったら安いかみんな考えていました。

     

    昭和40年代から50年代にかけて、国鉄は赤字を理由にどんどん運賃を値上げしていきました。初乗り運賃が30円から40円、60円、80円、120円とわずか数年で倍以上になりましたから同じ区間で比べると国鉄はずいぶん割高に感じるようになりました。

    上野から成田までとか新宿から八王子までとか、国鉄と私鉄が競争している区間は当然のように私鉄に軍配が上がります。そこで、そういう競合区間に国鉄は特定運賃と言って、私鉄に競合できるような安い運賃を設定しました。乗客たちはそういうことをよく研究していて、10円でも安いルートを選んで乗っていました。

    例えば、営団地下鉄(東京メトロ)と都営地下鉄を乗り継ぐと会社が変わりますから割高になります。同じ乗継でも営団地下鉄どうしを乗り継いで行けば通算運賃でいけますから数十円安く目的地へ着けます。細かいといえば細かいですが、そういうことを皆さん考えていて、10円でも安いルートを選んで乗っていたのです。

     

    でも、今の時代はどうでしょうか?

    皆さんカードやスマホで「ピッ!」と改札口を通り過ぎます。

    いくら引かれるかなどあまり気にしていない様子です。

    気にしているとすれば残高がいくらあるか、という程度の様子です。

    10円単位、1円単位のお金のやり取りなど、だれも気にしていない様子です。

     

    私の地元に東葉高速という鉄道が走っています。

    この鉄道が実に運賃が高い。

    その理由は建設費の高騰。建設が始まってからも用地買収に手間取り、30年近くの時間を要してやっと開業しました。

    当然有利子負債がかさみ、その分の金額が運賃に跳ね返りました。

    勝田台から西船橋まで、16.2劼留芯造630円。

    同じ区間を並走する京成電鉄に乗れば320円ですから、開業当初は東葉高速は「高い!」と言って皆さん敬遠していました。

    そんな時、パスモ導入の話がありまして、その時に大きな赤字を抱えているにもかかわらず、さらに設備投資をするべきかどうかという議論が社内で行われました。この時に東葉高速で部長職にあったのが、私がいすみ鉄道に入った時にお世話になった千葉県の交通計画課出身の高橋部長さんでしたが、その高橋さんが東葉高速でパスモを導入した時の話を聞かせてくれました。

     

    「ICカードっていうのは不思議ですよ。それまで切符を買っていた人たちがカードでピッ!とやるようになると小銭のことを考えなくなるんですね。だから、パスモ導入をきっかけに、東葉高速はお客様の数が飛躍的に増えたんです。」

     

    そう教えていただいたことが印象に残っています。

    それから私もいろいろ注意して見るようにしているのですが、確かに切符を買う時には券売機の上にある運賃表を見ますね。

    西船橋まで630円という表示を見ると、京成が320円ですから「うわっ、高い!」と誰もが考えてしまいます。

    ところが、ピッ!であれば細かいことは考えなくなりますね。

    まして、スマホで時刻表検索をするとたいていは所要時間優先で表示されますから、スマホの示す通りのルートでピッ!

    どちらがいくら安いかなど、あまり考えることが無くなっているように思います。

     

    そういう時代は、おそらく日本だけじゃなくてアメリカでもヨーロッパでも、あるいはアジア諸国でも同じではないでしょうか。

    皆さん、ピッ!やるだけで何も考えなくなっている。

    中国などはほとんど現金を持たなくなっているようですから、小銭の感覚などきっとなくなっているんでしょうね。

     

    だから、私はこのアメリカのテレビニュースのCMが妙に納得するのです。

     

    「お嬢さん、これ落としましたよ。」

    「えっ、たった1ペンスでしょ。」

    言葉を変えれば、「たかだかペニーじゃない。」

     

    日本なら「たった1円でしょ。」ということですね。

     

    でも、その1円が実はとても大切なのではないか。

    昭和のおじさんとしては、妙に共感を覚えるのです。

     

    最近の若い人たちは従量制のスマホで月末になるとできるだけWifiが飛んでいるところを探しながら使っているようですが、それと同じ感覚です。昭和のおじさんたちは、今でも電車に乗るときに10円でも安く乗ることを考えてしまいます。

    大阪から帰って来る新幹線は当然のように品川で下りて、上野東京ラインの常磐線で日暮里へ出て京成電車に乗り換えるのが一番安いなどと考えてしまうのであります。

     

    皆さん、小銭を大切にしてくださいね。

     

    なぜなら、小銭が日本経済の基礎を支えているのですから。

     

    小銭を大切にする方法を教えます。

    一つ一つのコインをよく見ることです。

    いろいろ発見がありますからね。

     

     

    今日の私の小銭入れの中の百円玉です。

    平成30年生まれと昭和42年生まれの2枚がありました。

    現行の百円玉が登場したのは確か昭和42年。私が小学校に入学した年です。

    下の百円玉は、今の百円玉の中での最古参。私の人生と同じ時代を過ごしてきたんです。

    上の百円玉は最新版。これから長い年月、人々のお財布の中を渡り歩いていくんですね。

    そう考えると、どちらも愛おしい存在です。

     

    大切にしないといけませんね。

     

    Jusy a penny.

     

    たかが1円、されど1円。

     

    1円を笑うものは1円に泣く。

     

    皆さん、お金を大切にしましょうね。